🌻『明暗で立体を表現しよう』画家・アタリサオリ先生のワークショップレポート2023.8.26

2023年8月26日(土)、アタリサオリ先生による『明暗で立体を表現しよう』ワークショップが開催されました。

中学2年生、高校1年生、そして大人の参加者1名が集まりました!

そして、ちょうど仕事が終わったカイマ父も興味を持っていたため、一緒に参加しました(笑)。

まずは、光と影の性質についてしっかりと学び、その後実際に3種類のグレーの紙を使用して明暗を表現する作品を制作しました。

参加者の理解度が非常に高く、アタリ先生自身も「講義のレベルを上げることができた」と述べるほど、非常に深い内容の授業となりました。

この記事では、ワークショップの雰囲気や様子を詳しくご紹介いたします。

講師・アタリサオリ先生

岡山大学教育学部 特別教科教員養成課程(美術専攻)

卒業後20年のブランクを経た後に美術モデル海斗氏を描いた事をきっかけに画家活動を開始。 美術解剖学をベースに明暗法を主体としたアカデミックな画風に海外のファンが多く、主に海外に作品を販売。 Rojue派として独自の人物画表現を追究している。 美術解剖学会/日本認知科学会/日本視覚学会 会員 アカデミック造形研究プロジェクト 副理事

目次

光と陰影について

アタリ先生の木炭デッサン

明暗を理解するためには、まず光の性質を理解することが重要です。具体的には、人が光をどのように捉え、それをどのように絵に表現しているかを学びます。アタリ先生は、例としてマンガの瞳を題材に、瞳の中のハイライトや上部がなぜ暗いのかなどについて詳しく解説してくださいました。

いつも何気なく描いている瞳にもちゃんとした理屈や原則があることが分かります。光や影、細胞や筋肉、色々な関係があり、それを理解して描いているかは絵のクオリティに直結することを学びました。

マンガでは、明暗をどのように表現し、活かしているかを解説。

そして突然のアタリ先生クイズー!(笑)

もっとも明るい=直射日光、もっとも暗い=ブラックホール。この2つ共通点は何でしょう?(人間にとっての共通点)

みなさんお分かりですか?

正解は、「人の目には見えない」です。

たとえば、直射日光を直接見ようとすれば、目が傷ついてしまうし、ブラックホールも黒点の周りの物体が明るいために輪郭として黒く見えているだけです。これはつまり、私たちが目にするものは、すべて色がついているとうこと!モノクロの世界で見ると、すべてグレーになるということを示しています。

アタリ先生の座学では、このようなクイズがたくさん出題され、参加者たちは「うーん」と頭をひねりながら、楽しく学習していました。

頭をひねる大人たち。子ども達の方が正解率が高かったです(笑)

白・黒・グレーで表現する

明暗の理解が深まったら、次は実際の制作です。

参加者たちはモノクロの写真を元に、明暗を利用して肖像画を表現していきます。

アタリ先生の見本

午前の部では、黒と白の2つのトーンに分けて、午後の部では黒と白にグレーを加えて3つのトーンに分割し、それに基づいて切り絵を制作しました。

写真を明暗でわける様子
画用紙に転写します。
グレーの面積を多くとっていて、まさに個性が出る瞬間。
細かい作業が一番苦手と言いながら作業するカイマ父(笑)

どのように境界線をとらえるかは、参加者それぞれの個性によります。同じ肖像画であっても、参加者たちの表現はまったく異なります。それを見比べると、非常に興味深く、個性的なアプローチが確認できます。このように、参加者たちの表現力がどれほど広がっているかが伺えますね!

左から、Yさん、カイマ父、カイマ作品。YさんはJAZZのCDジャケットのような仕上がり!カイマ父はコミカルでかわいい(笑)

ご感想

アタリサオリ先生よりコメント

アタリサオリ先生

「漫画やアニメはデフォルメするものだから、デッサンまでしなくても良いのでは」
実は私自身がほんの少しそう思っていました。
しかし、今回アトリエcaimaでワークショップをさせていただくにあたり、改めていろいろな作品を観察すると、いかに皆さんが情熱的に研究し、魅力的な作画に挑まれているのかがよく分かりました。
それに魅了されるお子さんたちも同じく熱心で吸収力も高く、このような才能に溢れた人たちに出会えて本当に嬉しかったです。
漫画やアニメは単なるデフォルメではなく、デッサンと同じ原理原則に基づいて作られていることが改めてよく分かり、私自身の視野が大きく広がりました。
このような機会を与えていただき、本当にありがたいです。
また今後ともぜひ皆様のお役に少しでも立てればと思っております。
ありがとうございました。

まとめ

「明暗を理解して描く」というのは、人や物のデッサンを描く上で非常に重要な技術ですが、学校ではあまり教えられておらず、何となく描いている人が多いと感じます。

かくいう私自身も、明暗の分け方がよく分からないままでした。(私が通った芸大でもこのような授業はありませんでした(笑))しかし、今回アタリ先生の講座を受けて、初めて理解することができたと思います。これからのマンガ制作においても非常に役立つと考えています。

「デッサンを始めるときに、これを最初に教えてくれればいいのに!」と感じずにはいられないほど、この知識は非常に大事なモノだと思いました。今回参加した方々は、きっと今後の制作活動で大きなステップアップをすることでしょう!

アタリ先生にはまだまだ教えていただきたいことが沢山あるので、またワークショップを開催していただきたいと思います!

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この記事を書いた人

漫画家・イラストレーター。こどもマンガ・イラスト教室講師。
白泉社 Love Jossie にて「曇り空のピクニックで君とキスしたかった」 連載中。

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