三島喜美代さん×森美術館館長・片岡真実さんトークショー

4月1日、ザ・リッツ・カールトン京都で、90歳の現代アーティスト・三島喜美代さんと、六本木ヒルズの森美術館館長で日本を代表するキュレーター片岡真実さんによるトークショーが行われました。

三島さんとは、アトリエCaimaのご近所に住んでいるというのもあり、とても親しくさせていただいています。このたびご招待いただいたので、私も参加してきました。

京都のギャラリー艸居にて個展開催中。4月26日まで 

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三島さんの人柄に触れる、笑いの絶えない対談

画像*産経新聞「ゴミばーっかり作ってます」88歳 現代美術作家・三島喜美代さん記事より引用

トークショーで片岡館長は、「今までの世界のアート市場は、欧米の白人中心で価値がつけられてきました。そこで見過ごされてきた東洋人や黒人のアートに、今注目が集まってきています。東洋人で尚且つ女性で、90歳になっても制作を続けてこられた三島さんは、今もっとも注目されているアーティストの一人です。」と語りました。

時代が三島さんに追いついたと言えるでしょう。しかし、当の本人は、アート市場など全く気にしていない様子(笑)

質疑応答では「三島さんが若かった時は美術の会に所属するのが当たり前だった時代。そんな中でどこにも所属せず、一人でやっていくのはなかなかできないことだと思う。ご自身を貫く、その秘訣はありますか?」という質問には「私は誰の影響も受けません」や、「人生最大のピンチは?」には「そんなのない」などバッサリ切っていく三島さん(笑)

つい私たちは現代アートの定義というか意味づけをしたくなってしまいますが、そういう問いかけに対しては「知らん」と答える三島さんが可笑しくて面白くて愛しかったです。

面白いと思ったから作った

「ゴミを見て、面白いと思ったから作った。どうしたら、これが作れるかなって考えるのが楽しい。上手くいかなくて、失敗する。それが面白い。」と、三島さんは話してくれました。

三島さんはただただ、好奇心で自分が面白いと思ったことを制作しているのです。三島さんが面白いと思うものは、時代やその地域を反映している「ゴミ」だそうです。

「ゴミは生活の一部なんです。」とおっしゃっていて、ニューヨークに留学に行ったときは、街のゴミばかりを拾っていて、帰国する時、関税にトランクいっぱいのゴミを指摘され、「これは私の大事なものです」と言ったら「クレイジー」と言われたというエピソードが面白かったです。

その時拾ってきたゴミはまだ、家にあるそうです。三島さんは全然物を捨てないのでお部屋は散らかり放題(笑)でもそれが、アイデアの源であり、材料なんですね。

女性たちを突き動かすものとは――
森美術館『アナザーエナジー展』
より、三島さんのアトリエの写真を展示会場の壁に貼ってある。

「好奇心があったから今までやってこれたんじゃないかな」

情報過多で効率を求められる時代。失敗したくない人が増えているという話も耳にします。そのため、事前に調べて、満足している人が多かったり、良い評価を受けているものを選ぶ傾向があります。 このような傾向がある一方で、三島喜美代さんのように、他人の影響を受けずに、自分が面白いと思うことを追求するアーティストも存在します。

「好奇心があったから今までやってこれたんじゃないかな」とおっしゃっていた三島さん。失敗を恐れずに、好奇心に従って、自分の創造性を追求することは、新しい発見やアイデアを生み出すことに繋がる。それを三島さんが証明してくれています。

三島さんの作品は、その失敗から生み出されたものばかりです。陶器を扱うので、途中で割れてしまったりなんて日常茶飯事。それでも制作を続ける原動力になってるのが、「好奇心」なんだと感じました。

アトリエCaimaに通ってくれる子どもたちにも、失敗をおそれず、好奇心を持っていろんなことに挑戦し、自分の創作をしてほしいと思います!もちろん、私自身も。

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この記事を書いた人

漫画家・イラストレーター。こどもマンガ・イラスト教室講師。
白泉社 Love Jossie にて「曇り空のピクニックで君とキスしたかった」 連載中。

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